レッド・ツェッペリンが高額な契約金と共に鮮烈なデビューを果たしたのは1968年。 ファースト・アルバムから既にセールス的に成功を収め、セカンド・アルバムでその名声は確固たるものとなった。 サード・アルバムはアコースティックな曲が多く占められており、渋谷陽一をはじめとして当時のツェッペリン・ファンは落胆したと伝えられるが、1971年リリースのフォース・アルバムで、ツェッペリンの評価は定まったと言えるのではないか。 現在でもロック史において名盤のひとつと挙げられているツェッペリンのフォース・アルバム。正式なタイトルはおろかバンド名さえフロントに印刷されていないジャケットながら、ツェッペリンの全アルバムの中で最も売れたアルバムとなっている。
確かにこのフォース・アルバムはツェッペリンの魅力が凝縮されており、 わずかな隙もないくらい作り込まれたものである。「ロックンロール」や「ブラックドッグ」、「ミスティ・マウンテン・ホップ」そして「カリフォルニア」など、この後ステージで重要な位置を占める楽曲が多数含まれている。 ハードなロックとアコースティックの融合が見事な形で結実した傑作といえる。そしてこのフォース・アルバムが高セールスを記録した背景には「天国への階段」の存在があった。
ジミーペイジとロバートプラントの共作による「天国への階段」はラジオでオンエアされることを念頭において作曲されていた当時としては異例の8分という長さ。 しかも意外なことにシングル・カットすらされていない。それにもかかわらず、この楽曲のみが独り歩きし、ファンはまるでシングルを買うように、この曲を目的としてアルバムを購入した。 異論はあろうが、この曲がツェッペリンで最も有名な曲であることは間違いない。ステージでは毎回必ず演奏されるのみならず、コンサートのハイライト的な位置で披露されるのが常であった。
このように、1971年11月8日にリリースされたフォース・アルバムであるが、 収録曲はその少し前からステージで既に演奏されていた。その初演となるのが1971年3月5日ベルファスト公演である。 この日、初めて聴衆の前で「Black Dog」「Stairway To Heaven」「Going To California」「Rock And Roll」が披露されたのである。 初めてこれらの楽曲を目の当たりにした聴衆の反応は、ジミーによれば「あまりピンとこなかったようだ」ということだが、 いずれも後年までコンサートのハイライトとなるべき楽曲である。そして本作は、この初演翌日、3月6日アイルランドはダブリン公演を収録している。
セットリストは「移民の歌」と「ハートブレーカー」のメドレーで始まる従来の構成を踏襲しつつ、 フォース・アルバムの曲を挿入するというもので、間に一曲アコースティックで「カリフォルニア」を挟むなど、 後年のステージ構成への布石となっているのが興味深い。 今まで歌い込まれていたサード・アルバムまでの楽曲と異なり、 フォース・アルバムの曲の初々しさは、他の時代や、この後の例えば同年の日本公演などでは味わえない新鮮なものとなっている。 「Black Dog」などは、従来通りのものを想定してい聴いていると違和を覚えるほど歌詞が異なり、おそらくロバートもまだうろ覚えなのだろう。 しかしそこはそれ、正しい歌詞であろうがなかろうが勢いで突き進む迫力がこのコンサートにはある。
1971年3月6日アイルランドはダブリンのボクシング会場で行なわれたコンサート。ここで披露されるフォース・アルバムの楽曲は全て初演翌日という初々しいものである。 またアメリカや日本と異なり良質なオーディエンス音源が出にくいイギリス公演において、素晴らしい高音質で収録されている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。
NATIONAL BOXING STADIUM DUBLIN, IRELAND March 6, 1971
DISC ONE
01. Introduction
02. Immigrant Song
03. Heartbreaker
04. Since I've Been Loving You
05. Black Dog
06. Stairway To Heaven
07. Dazed And Confused
08. Going To California
DISC TWO
01. What Is And What Should Never Be
02. Moby Dick
03. Whole Lotta Love
- Boogie Chillen
- Suzie Q
- Hey Baby, Don't Go That Way
- Some Other Guy
- Honey Bee
- Needle Blues
- The Lemon Song
- That's Alright Mama
04. Communication Breakdown
05. C'mon Everybody
06. Rock And Roll