■1973年5月26日ソルトレークシティー公演を完全収録。
■サウンドボード音源をメインに欠落部分を同日オーディエンス音源で補完。
■アドリブで「わが心のジョージア」を演奏するハプニングあり。
WENDYレーベルより1973年5月26日ソルトレークシティー公演をサウンドボードで収録したタイトルが入荷になる。1973年の全米ツアーといえば映画「永遠の詩」が収録された、ツェッペリンの分水嶺として位置付けられる大規模なツアー。次のツアーが1975年まで待たねばならなかったこと、ステージ演出などの都合で定型化した中でしかインプロを展開しづらくなっていった過程を考えると、巨大化したツェッペリンが、その巨体を自由に操ることが出来た最後のツアーではなかったかと思われる。事実1973年は長年の喉の酷使からロバートの衰えが随所に散見されるようになり、公演によって出来不出来の差が大きいツアーでもある。まさに楽器のみならず身体全体で表現することを信条とするツェッペリンの青年期の終わりを感じさせられる、1973年とはそのようなツアーであったと言える。
それでも1973年初頭の欧州ツアーから、夏の全米ツアーは名演と呼ばれる日が数多くあり、またケザースタジアムやボン誕など演奏のみならず音質にも恵まれた有名公演が目白押し。またサウンドボード音源も完全、不完全を問わず、数多く残されている。しかしサウンドボード音源の数は多いものの、意外や完全収録のものはほとんどなく、いずれの公演もどこかしこ欠落してるものが多い。このソルトレークシティー公演も残念ながらサウンドボードで完全収録ではなく、「Rock And Roll」の冒頭、そして「Whole Lotta Love」の後半とアンコール最後の「Communication Breakdown」は、今まですべての既発タイトルでも欠落している。
本作の元となったソースはオリジナル・マスターをDATに落としたものからデジタル・トランスファーしたサウンドボード音源をメインで使用している。そして本作の特長として上記の欠落部分をオーディエンス音源にて補完し、コンサートを完全収録している点にある。さすがにサウンドボード音源と比べてオーディエンス音源は音質差はあるものの、ピッチが正常かつ編集も巧みで違和感なく通してコンサートを完全収録している点は特筆に値するだろう。
またマニアの方には釈迦に説法であろうが、本作ソルトレークシティー公演では、ジミーの調弦の場繋ぎのために、「Misty Mountain Hop」の演奏前にアドリブで「Georgia On My Mind」を演奏しているのが珍しいところである。ロバートが情感たっぷりに魂を込めて歌う「わが心のジョージア」に心奪われることだろう。
そして、ようやく調弦が終わって始まった「Misty Mountain Hop」にも非常に驚かされる。何やら曲中でカーン、カーンという音が入っているのである。これは何かと思いきや、音の主はジミーであった。ロバートその他メンバーがアドリブで「わが心のジョージア」を演奏してまでジミーのために調弦の時間を作ったにもかかわらず、よほど慌てていたのか、 依然としてチューニングが狂ったままであったようだ。ジミーは何と、それを演奏中に調整しているのである。カーン、カーンという音の正体はジミーが調弦している音だったのである。まったく器用というか、曲中でチューニングを合わせる発想自体が凄い。ぜひ「Misty Mountain Hop」の曲のブレイク部分を注意して聴いてみて欲しい。
WENDYレーベルの最新作は、1973年5月26日ソルトレークシティー公演を、高音質サウンドボードにて収録したタイトル。欠落部分を同日のオーディエンス音源で補完し完全収録したタイトルとなっている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。
SALT PALACE, SALT LAKE CITY OT U.S.A. May 26, 1973
DISC ONE
01. opening
02. Rock & Roll
03. Celebration Day
04. Black Dog
05. Over The Hills And Far Away
06. Georgia On My Mind
07. Misty Mountain Hop
08. Since I've Been Loving You
09. No Quarter
10. The Song Remains The Same
11. The Rain Song
DISC TWO
01. Dazed And Confused
02. Stairway To Heaven
03. Heartbreaker
04. Whole Lotta Love
05. Communication Breakdown